円形脱毛症とは?

円形脱毛症は、様々な原因で頭髪を含んだ全身の毛髪体毛が抜け落ちてしまう病気の事を言います。

脱毛の広さと形は様々で、小豆大の脱毛斑から全身性脱毛症まで様々です。

 

病気じたいに痛み痒みを伴う事は原則ありませんので、ある日突然髪の毛が抜けていてハゲになっている事に気がついたり、増えた抜け毛により洗髪時や起床時に枕についている毛髪の量が増えて、非常に嫌な気分になったり、病状の先行きに強い不安を感じる事になります。

円形脱毛症は見た目の分類としては以下に分けられます。

単発型円形脱毛症

Alopecia Areata Simplex

多発型円形脱毛症

Alopecia Aleata Multiplex

全頭型脱毛症

Alopecia Aleata Totalis

全身性脱毛症/汎発性脱毛症

Alopecia Aleata Universalis


 

他にも蛇行型脱毛症 Alopecia Areata Ophiasisがあります。

 

 

上記の模様の問題とは別に病状の勢いの問題があり、抜け毛の有無が病気の診断と関係する事があります。

 

実際診療してでの印象ですが、脱毛面積が広いほど炎症が強い印象を有します。

全頭型脱毛症や全身性脱毛症位の重症例ではステロイド外用剤やセファランチン 6mg位までのような軽い薬剤が全く効かなくなってきますが、それは上述の炎症の強さを反映しているのかもしれません。

ただし、そういう事を証明する保険適応のある採血などの簡易的な検査も存在しないです。

 

ADTA (Acute Diffuse Total Alopecia):急性びまん性全頭型脱毛症

急激な抜け毛により重症な脱毛症を来していく病状の事を指しています。

皮膚科の診断は見た目のパターンの問題で診断を付けていきますので、この抜け毛の程度を定義した話題はないですし、一旦全て抜けた脱毛症で自然治癒で治っていくものとそのまま重症脱毛症で病状が固定するものを一緒に同じ病状として診断を付けている現実がありましたが、杏林大学皮膚科教室の大山先生らの研究で最終的にどうなるかを見極めるための取り組みがなされています。

 

この病気は内臓疾患を合併する事があると言われています。

1 甲状腺疾患(特に橋本病):文献報告では8%と報告されており、当院でも散見されます。

2 甲状腺機能低下症:甲状腺機能低下症が合併する事は言われています。これは甲状腺機能低下症により脱毛症をきたす事がある状態で、その甲状腺機能低下の原因はミネラル不足(鉄、セレニウム)、慢性疲労、低体温、水銀中毒が実際としてあるのですが、こういう原因を調べて治療する事は保険皮膚科標準治療では検査手段と治療手段(薬剤)が保険適応で存在しないので、行われていません。

3 膠原病:自己免疫疾患の膠原病を合併する事があると報告されていますが、当院ではまだ確認されていません。

4 感染症(梅毒):梅毒感染による脱毛症が報告されていますが、当院ではまだ確認されていません。

皮膚科診療はある意味見張り台みたいな所があって、内臓の病気を見つけたらしかるべき専門家(主に内科)へ、その病気の治療の依頼するのが仕事みたいな所があります(大切な話です)。

しかし、国内皮膚科標準治療ではこれらの病気が合併する事がありますが、それを治したからと言って脱毛が治るという訳でもありません。

 

最近知ったもっと悩ましい話です。

円形脱毛症の様に見えても瘢痕性脱毛症が混じっていたという報告がJournal of American Dermatologyという米国の皮膚科の学会雑誌で論文報告されました。

また以前から脱毛症を専門として研究している大学病院では、病状の種類を皮膚病理組織検査(皮膚を切り取って皮膚の細胞の状態を評価する検査)で見極められています。

 

当院でも円形脱毛症と休止期脱毛症が混ざっているケースをよく経験します。

トリコスコピーという毛穴の状態や毛髪の状態を観察して診断をサポートする検査もありますが、完全に髪の毛がなくなると診断のしようがなくなる現実を考えると万能でもありません。

 

診断が違うと治療する手段が全く異なります。

更に休止期脱毛症の場合は、保険適応で治療薬が存在しません。

 

見た目の診断の際に、AGA(男性型脱毛症)のように見える円形脱毛症もあれば、円形脱毛症のように見えるAGAもありました。

AGA は国内では保険適応の治療は存在しません。

 

自費のAGA治療ではなおさら上記のような事を見極めて治療はされていません。

ですので、AGAとしてプロペシアで治療しても必ず治らないケースが発生する事になります。

 

では仮に難治性としても、「病状を充分に把握する為に定期的に皮膚を切り取って検査をします。」と言われた時にどれ位の患者さんが協力してくれるのかというと、手間と痛みと外科的な操作が必要になりますので、全員が協力してくれるとは思えません。

 

例えばアトピー性皮膚炎は治ると皮膚の色がすぐに元に戻りますし、TARCという血液検査の項目で病勢の数値的な定量化が可能ですので、脱毛症と比較すると診療が分かりやすいです。

 

病気の数での組合せと各々の病気の病勢(病気の勢いの強さ)の客観的な数値計測と評価が必要と判断しても、容易かつ簡便な検査がこの病気の診療では存在しません。

ですので、十分に病状の評価ができない状態になりかねない所で、見た目だけで診断をつけて、治療手段の見極めと匙加減を決める事は実は医師としても容易な話でなく(内科/整形外科などの他の診療科では専門診療としたらありえない事)、長年の経験と勘に依存せざるを得ないのが脱毛症診療の現実となっています。

 

国内には保険診療のみの治療手段で円形脱毛症を診療している医療機関が多くありますが、上記のような現実を全く知ることなく、ダラダラ薬を出しているだけの所だらけです。

自費診療で休止期脱毛症の治療とAGA/FAGA(女性のAGA)の治療を行っていない医療機関を受診すると、理論上必ず改善しない脱毛症が残る事になります。

 

抜け毛のある方はこちらをお読み下さい。

円形脱毛症の治療方針

治療方針については皮膚科標準治療では脱毛面積が広くなると治療方針が変わってきて、軽症と中等症以上では治療方針が異なります。

漢方治療と体質改善外来では、病型と治療方法に差はありません。

円形脱毛症はおいておいたらどうなるのか?

当院の印象だと、10%位の患者さんは受診後も抜け毛が続くと考えています。

ただ、大幅に毛髪量が減って髪型が変わるという事はほぼありません。

当院の経験ですと、円形脱毛症になって、その後に全部抜けてしまうケースは1%未満と考えています。

抜け毛を止める方法はありますか?

ステロイドパルス療法またはステロイド内服療法があります。

ステロイドパルス療法は頭髪の25%以上の抜け毛を認めた場合で保険適応があります。

当院では漢方治療と自費体質改善の両方の併用により、抜け毛が止まったケースが多々あります。

円形脱毛症はまたなるのか?

円形脱毛症の皮膚科標準治療は原因と関係なく病状だけ強制的に治す治療(対症療法)ですので、原因が残っている状態で治療を終えると悪くなってしまう事が見込まれます。

また、一旦治って治療中断して病状の悪化がなかったとしても、再発する可能性は84%と報告されています。

原因の対処をしなければ当たり前の話であると思います。

子供に遺伝しますか?

両親が脱毛症で子供も脱毛症のケースは確かにありますが、必ず発症する訳ではありません。

この病気は世に出てからの生活習慣や外的環境の問題の方が影響力が強いです。

ずっと放置しておくとどうなりますか?

数年の期間だと発毛する可能性はあります。

当院の経験では10年以上たったケースに皮膚の組織の状態を見る検査を行うと、毛包の数が著しく減少しており、病状の改善は困難と判断したケースがあります。

何年かたってしまった場合、治療して改善するかどうかの判断は検査をしての判断となります。

 

しっかりと治したい、再発対策をしたい方は漢方治療と自費体質改善をお勧めします。